読書の秋。
先週のこと。
高校時代の恩師から、手紙とたっぷり本が送られてきた。
書庫の整理をなさっているようだ。
本は殆どが安吾の全集で、それは先生そのもののような気がしていたし、
それを頂けたことが嬉しかった。
それから、「お前さんの大学の卒業論文が、
長いこと手元にあったのでお返しします。」とあった。
(Why)
パラパラとめくってみて、
一瞬、真空パックされて戻ってきたような気持ちが込み上げて、
恥ずかしくてやめた。
先生とは何年もお会いしていなかったが、
25年もの間、懇意にして頂いている。
高校時代、古典の時間に音読が廻ってきて
「給ふ」を、そのまま「たまふ」と呼んだ時、
「この時期に、まだこんな読み方をしている奴がいるのか、
ばかもの、ここから飛び降りてしんでしまえ。」と言われた。
教室は3階だった。
あの頃が豊かだったと思うのは、
言葉のつながりの中に、行間を読む力があったことだと思う。
それはつまり信頼関係のようなものだった。
自分が手に取ったもの以外を読むのは、
とても時間がかかると思うけれど、それも面白いから読もうと思う。
秋の夜は長いけれど、秋自体は短いのだ。
みなさまは、どのような秋をお過ごしですか。
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